パネルディスカッション
「自転車活用の可能性」
まちづくり、健康に効果
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「都市環境の形成」
大高 次に、自転車活用による良好な都市環境の形成というテーマに移ります。
 車優位から人中心の歩行者、自転車、バス、車などが対等な社会に持っていくことです。このためには、道路空間を再配分する必要があります。金沢市は自転車の先進市ですが、基本的な考え方は人中心の交通体系で、人を真ん中に置いて、徒歩も自転車も車椅子もバスも車も対等です。車を否定しているわけではありません。具体例は道路ダイエットと言うのですが、車線が4つあった際に1車線をつぶして自転車の通行帯をつくります。歩行者と自転車に、本来配分すべき道路空間を戻して対等にすることが必要です。
人と自転車に空間再配分
茨城大学大学院理工学研究科教授
金利昭氏

宮内 都市部においては、何よりネットワーク計画の策定が重要です。県内で、つくば市、土浦市、水戸市が自転車走行のネットワークの整備計画を策定しており、他の市町村も計画策定をしていただけると安全・安心・快適な自転車走行空間が広がると思います。自転車専用の道路があるのが理想ですが、少なくとも自転車走行空間拡大、通行指導帯をつくることでベターな環境になると思います。
小林 自転車通行空間にどんなものがあるのか。一つは自転車道と呼ばれ、車道からも歩道からも縁石で物理的に分離し、自転車しか走れない道路です。最近増えているのが自転車専用通行帯で、車道の左端をブルーに塗って、視覚的に分離している空間です。
 また、車道混在という考え方も出てきています。車と自転車が同じ通行空間で走りましょうというもので、交通量が少ない道路や幹線道路ではない道路で矢羽根を整備することを推奨しています。こうした通行空間を効果的につくるためには、自転車ネットワーク計画を整備しないといけない。行政、住民一体となって取り組むのがいいのではないかと考えています。
稲村 東京に住んでいて、最近、自転車が通れる車道が増えてきたと感じます。安全面でも、自転車がより走りやすくなればいい。都内にもっと広がっていけばいいなと思いました。
久野 これまで100以上の自治体と健康に関する共同プロジェクトを実施してきましたが、あまり自転車が登場しない。自治体関係者の自転車活用のリテラシー(知識と意欲)が非常に大事だと思っています。自治体の首長や職員が活用を理解し、住民の自転車に対するリテラシーを上げていかないと。今回法律ができ、今後計画をつくる行政側は、活用する住民側のリテラシーを上げつつ、何らかの具体的な仕掛けも計画の中に盛り込んでいく必要があります。それらをうまくリンクさせながら環境づくりを進めることで、より自転車が活用される社会が来るのではないでしょうか。

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